一機の少女ロイロイが逃げ惑う。彼女を追い掛けるは赤い機体色のプロヴェデル。
其の腹部には鹵獲されたと思われるポルタノヴァが載せられている。
幸いにも巨躯故に脚は遅いが無慈悲にも彼女を撃ち落とそうと砲撃が飛ぶ。
其れでも彼女は逃げ回る。軈て辿り着くは巨石の連なる集積場。
集積場には味方のマクシオン軍の機体が隠れている。此処なら身を遣り過ごせる。
然し、其処にも魔の手が襲い掛かる。赤い機体とは異なるプロヴェデルが。
見た目からして獰猛な恐竜を思わせる容姿。武器も持たぬ彼女には到底勝ち目も無い。
恐竜のプロヴェデルが咆哮を上げると地連の機体が続々と彼女達を囲い込む。
味方の砲撃が援護するも地連の物量が勝っている。彼女には逃げるしか術がない。
賺さず彼女は隙をついて集積場から脱出するも先程の赤いプロヴェデルが再び待ち受ける。
プロヴェデルの砲撃が容赦なく彼女に襲い掛かる。幸いにも横を掠ったが衝撃の威力は絶大。
彼女は獣道に逃げようとした。然し、先程の衝撃で抱えていた人形を落としてしまった。
人形は既にプロヴェデルの足元に落ちている。此のままでは踏み潰されてしまう。
其の人形は彼女の一番の宝物で肌身離さず持ち歩いている命よりも大切な物だった。
迷わず彼女は人形を拾いに戻った。然し、プロヴェデルの巨大な脚が彼女を踏み潰そうとする。
最早絶体絶命、其の時だった。何処からか一閃が飛び出し、プロヴェデルの脚を切り落とした。
そして赤い影がプロヴェデルに向かって襲い掛かる。軈て白黒の機体が巨躯を貫いた。

「仕留め方が為っておらんのう……、名もなき処刑兵よ。」

「相変わらずの頑固だな……、源鶴は。残酷に仕留めるのが戦争の花形だってのにな。」


何とか危機は脱した。彼女を救ったのは源鶴が操縦する桜牙とハートの女王。
そして其の横でアリスのアサルトレディが木陰に隠れていた。見た事の無い子だ。

「貴女は……、何処のアサルトレディかしら?」

「私はマクシオンのアサルトレディ。ゴシィって呼んで貰えたら……、嬉しいな。」




Assault Lady "GOTHIC MAIDEN"
惑星マクシオン製のゴスロリ型アサルトレディ。
バイロン軍の装甲突撃メカとは違い、搭乗しているロイロイや電子回路が異なっている。
幻想的で儚い物を好む陰気な性格でアリス同様に白兎に導かれて古代都市に辿り着く。


バイロンのアサルトレディとマクシオンのアサルトレディ。
二機の少女ロイロイが出逢う時、古代都市の戦争は更に混沌を迎える。

「まさかもう一人のロイロイ野郎を護る事になるとはな……。」

「何を言っておるんじゃ、其方の国の小童では無かろうか。」



#6 ASSAULT MAIDEN






2機目のアサルトレディ完成じゃ……。其の名もゴシックメイデン、略してゴシィじゃ!
今回はマクシオン側のアサルトレディじゃ。マクシオンにもアサルトレディは居るんじゃな……。
バイロンの方と違ってフォレスティエリ付属のロイロイで作ってみたぞえ。
惑星が異なればロイロイの種類もメカに使っておる回路も違うのじゃ。
……となれば地連のアサルトレディも居たりするのかのう?



……そんな訳で詳しい説明じゃ。ロイロイ本体はツインテールにしてみたぞえ。
ボディはサーフェイサーの黒では無く筆塗りで表現じゃ。其処迄力を入れて作っておる。
スカート部分はアリスと異ならせたが前から見ればパンツの部分が丸見えじゃ。
隠れるように色々と試してみたが此れが一番の正解じゃった……。装甲突撃メカの宿命じゃな。
肌の部分はフレームグレーで塗装じゃ。メカ娘の肌の色はグレーが最適解と聞いてのう。
装甲突撃メカ故に人間から掛け離れておる。敢えてメカ感を最大限に引き上げた結果じゃ。
装飾品は日傘と人形だけじゃ。特に人形はゴシィにとっての一番の宝物じゃ。



Spinabear-Dolly
ゴシックメイデンが肌身離さず持ち歩いている黒い熊のような人形。
彼女にとっての一番の宝物だが貰った経緯は一切の不明。
ロイロイの一種ではなく只の人形なので自我を持って動く事は一切無い。


此の人形の骨組みはジョイントパーツを組み合わせてから黒で塗装しておる。
ジョイントパーツだけでもこう言う小物も作れるのじゃな……。
参考としてはチトセリウムのユラニアの持っておる人形じゃ。妾も思わず手作りしたからのう。
もう少し小さくしたかった所じゃが流石にユラニア並みとはいかなかったがのう。
こう言うゴシック系のアサルトレディが作れて満足じゃ。然し妾の戦いは終わっておらん。
アリスの物語も終局に向かっておる。扨て次は何を作ろうかのう……?