魔王の模型活動-千歳篇6-


遂に此の時を待っておった……!元素番号1、ハイドラのお出ましじゃ!
去年は新作が一つも発売されなかったがグラファイツから14ヶ月待った甲斐があった……。
箱絵からして女王らしく清楚で喋り方も妾と同じような高貴さのフラグメンツじゃな。
正に覇道を往くような出で立ちじゃ。因みに元素番号では水素に当て嵌まるそうじゃ。
箱を開けた時に先ず目に映る厚紙が赤と言うのも特別感があって良いのう。
制作日は妾の魔王節。最大の祝祭日に作るのも偶然、いや必然と言っても良さそうじゃ。
永遠の刻を生き、世界唯一絶対の頂に立っておる妾と全ての元素の起源のハイドラ。
思うておる以上に似た者同士かもしれんのう。と言う事で製作開始じゃ!!


先ずはトルソーの部分じゃ。此の時点で美しさと高貴さが溢れかえっておる……!
此れが女王の威厳と言う訳じゃな……。ツインテールも美しく纏められておる。
胸の大きさは言わずもがな妾の負けじゃ。まあチビッ子の童共にも負けておるがのう。
そして脚部がプラチナムに似ておる? ……と言う事はプラチナムの系列じゃな。
其の割にはフォルダ以外は全て新規金型だったがのう。所々に露出しておる肌も良いのう。
そして此処からが本領じゃ。此の装備がハイドラの全てを物語ると言っても過言ではない!!


完成じゃ!!全身は確かにプラチナムと同じ背丈じゃ。此の高貴さが本当に堪らん……!
何と言っても最大の特徴は頭上の大きな王冠!女王……と言うよりも女帝じゃな。
装備は意外にも錫杖と扇だけじゃ。因みに司るは太陽の役割で正義を演じるそうじゃ。
……言われてみれば王冠を広げれば太陽に見えん事も無いのう。何とも起源らしい女王じゃ。
フォルダに刻まれておる目も印象的じゃ。果たして此れが一体何を意味するか……。

そう言えば去年になるがチトセリウムの5周年記念のムック本を買っておる。
チトセリウムと言うのはどうやら忘れられた物語が行き着く「箱庭」の事のようじゃ。
そしてフラグメンツは人が物質に対して抱いた物語から生まれた自我、謂わばハイドラの姿じゃ。
例えばプラチナムは人が白金に抱いた物語が具現化、門の役割を担い、繋ぎの物語を演じておる。
アダマスは盾の役割で守護の物語を、ロンズデライトは旗の役割で進軍の物語を演じておる。
どうやら妾が思っておった世界観とは大きく異なっておったそうじゃ。勉強になったわい。
人の姿を模った物語の断片が箱庭で個々に割り当てられた役割を担う。何とも世界は深いのう。
果たして次に儚くも美しく、切ない世界観の箱庭に行き着く物語の断片は何じゃろうか。